後を継ぐ者
(またか…)
懲りるということを知らん奴らだ、とキースは溜息を一つ零した。
首都惑星ノアの、国家騎士団総司令のための個室で。
今日もマツカが未然に防いだ、「キース・アニアン」の暗殺計画。
初の軍人出身の元老として、パルテノン入りするのが内定してから、何度目だろうか。
(以前は、暗殺計画を立てる者と言ったら…)
同じ軍人で、出世しそうな者同士での足の引っ張り合いだった。
もっとも、そう考えているのは相手だけのことで、キースは出世に興味など無い。
今までもそうだし、これから先も、その考えは変わらないだろう。
(出世したところで、私は嬉しくなどないし…)
地位にも金にも執着は無いし、出世しなくともかまわない。
終生、ただのメンバーズとして、任務一筋に生きたっていい。
(…だが、そうやって生きてゆくことは、私には…)
けして許されてはいないのだ、と覚悟しているし、諦めてもいる。
「キース・アニアン」は「作られた者」。
Eー1077で、マザー・イライザが無から「キース」を作り上げた。
その目的は、理想の指導者を生み出すこと。
SD体制を揺るぎなく守り、人類を導いてゆくことこそが「キース」の存在意義だと言える。
だから逸脱など許されないし、何処までも出世してゆくしかない。
いつの日か、頂点に立つために。
二百年間も不在のままになっている、国家元首の座に就くことが「キース」の使命。
直接、グランド・マザーの意を受け、人類を、地球を導いてゆく。
(…最初から、そう決められていて…)
そのために作られた人間なのだし、誰にもそれは覆せない。
そうとも知らずに、愚かな人間たちの方では、せっせと暗殺計画を立てる。
かつては軍人だけだったけれど、今はパルテノンにいる元老たちまで加わりつつある。
自分たちの地位を脅かしそうな、目障りな「キース」を消そうとして。
「出る釘は、早く打たねばならん」と、芽を出す前に摘み取り、葬り去るために。
しかし彼らが何をしようと、計画は端から破綻してゆく。
誰も「ミュウ」とは知らない側近、「マツカ」が才覚を発揮して。
サイオンを使って計画を見抜き、暗殺者の弾も「素手で」受け止められるのが「マツカ」。
(…マツカがいる限り、どんな計画を立てても無駄というもので…)
「キース」の命は潰えることなく、出世の階段を昇ってゆく。
グランド・マザーが意図する通りに、パルテノン入りを果たした後には、国家元首の座へと。
(もしも、マツカがいなかったなら…)
暗殺計画を防ぐ役目は、誰が担っていたのだろうか。
今はマツカの活躍のせいで「影が薄い」、本来の部下たちなのか。
(奴らの方では、マツカを能無し呼ばわりで…)
コーヒーを淹れることしか出来ない、と揶揄するほどだし、そうかもしれない。
「マツカ」を拾っていなかったならば、案外、使える人材な可能性もある。
(…そうでなければ、大変なことになるのだからな?)
グランド・マザーが期待する人材、マザー・イライザが作った「キース」。
人類は「キース」を失えないし、グランド・マザーも、それは同じこと。
「キース」無しでは、人類はおろか、SD体制も立ち行かない。
グランド・マザーも充分、承知している筈だし、策を講じることだろう。
部下たちが「使えない人材」だった時には、先手を打って、暗殺者を消してしまうとか。
(…グランド・マザーならば、可能だろうな…)
暗殺計画の実行者を「実行する前に」探し出し、処分することは出来る。
全ての人類を「支配している」機械なのだし、怪しい動きも見抜けるだろう。
(監視カメラをフル稼働すれば、簡単に出来ることなのだし…)
必要とあらば「寝ている間に」全人類の思考もチェック出来る筈。
「キース」に関わりそうな者たちだけを「選んで」やるなら、もっと容易いことだと思う。
(暗殺計画を立てる奴らが、私という芽を、先に摘もうとするように…)
グランド・マザーも、同じ行為を「彼ら」を相手にやってゆくだけ。
「疑わしい者は、葬っておけ」と言わんばかりに、「疑い」の時点で処分する。
軍人ならば、辺境の最前線へでも飛ばして、戦死を装って消せばいい。
元老だったら、車に細工するなど、不慮の事故でいくらでも「消す」手段はある。
グランド・マザーが「消す」と決めたら、誰も逃れることは出来ない。
SD体制の社会においては、全ては「グランド・マザーの御意志」のままなのだから。
つまり、「キース」は「消し去れない」。
誰がどんなに努力しようと、出世を止めることは出来ない。
(私がマツカを拾っていなくて、部下たちも「使えない」者だったなら…)
屍が無駄に増えただろうな、という気がする。
暗殺者と、計画を立てた者だけを「選んで消す」など、グランド・マザーは恐らく、しない。
「そうなる前に」疑わしい者を全て消しておくのが安全な策で、安心でもある。
機械が考えそうな良策、効率の良さも「そちらの方が」遥かにいい。
何人死のうが、代わりは「いくらでもいる」わけなのだし、誰も困りはしないのだから。
(…「キース」が死んだら、そうはいかないのだからな…)
何千人でも「先に殺してしまう」だろうさ、と考えた所で、ハタと気付いた。
確かに「それでいい」のだけれども、「キースの次」はどうなるのだろう、と。
(今は、確かに…)
「キース」がいれば間違いは無いし、SD体制も、地球も、人類の未来も安泰と言える。
現状ではミュウに押され気味でも、機械は危機とは考えていない。
「キース」が頂点に立ちさえすれば、巻き返せると踏んでいるのがグランド・マザー。
そのために「キース」を作ったからには、きっと役立つに違いない、と。
(…確かに、そうかもしれないが…)
勝算はゼロとは言わないけれども、問題は「次」。
暗殺計画を防ぐことは出来ても、「キース」の寿命を延ばせはしない。
「人類」として「作られた」キースは、あくまで「人類」、寿命も人類と変わらない。
ミュウどものように長寿ではなくて、メギドで対峙したソルジャー・ブルーとは事情が違う。
(私は、タイプ・ブルー・オリジンのように、何百年も…)
生きて人類を導けはしない。
せいぜい、もって百年だろうか。
(…その間だけは、グランド・マザーの理想の統治が出来たとしても…)
「キース」の寿命が尽きてしまったら、その次の代はどうするのか。
Eー1077の実験室は、既に「キース」が破壊した。
あそこで「キース」の後継者を作り、育てることは「もう出来ない」。
ならば、何処かで「作る」のだろうか。
それとも、「キース」の「次の代」など、まるで考えてはいないのか。
(…どちらかと言えば…)
後者のような気がするのだが、と恐ろしくなった。
「私の後を引き継ぐ者など、いないのでは」と。
グランド・マザーの言動からして、その可能性は非常に高い。
「キースの次」を考慮に入れていたなら、Eー1077を処分するにしても…。
(…あれほど長く、廃墟のままで放置するよりは…)
早々に消して、痕跡を残さないのが「上策」だろうと思われる。
「シロエ」のように「好奇心旺盛な」探索者の類が、再び出ないとは限らない。
あんな廃校を放っておいたら、調べたくなる者も出るだろう。
(立ち入り禁止、と規制してみても…)
宇宙空間を旅する者は、SD体制に従順な者たちばかりではない。
枠から外れた海賊なども、あの宙域を通る恐れがある。
(何か、お宝でも見付かるかも、と…)
彼らが其処へ舵を向けたら、隅々まで探し回るだろう。
当然、フロア001にも、彼らは「遠慮なく」入り込む。
(マザー・イライザが、それを防げるかどうか…)
怪しいものだな、と「廃校になっていた」Eー1077を思い返した。
監視カメラも、恐らく壊れていたことだろう。
侵入者を探知出来はしないし、迎撃用のシステムが生きていたかも危うい。
「押し入った者たち」は、フロア001に入って「キース」を目にする。
人類の世界で異例の出世を遂げてゆく「キース」と同じ顔の標本、それが「在る」のを。
彼らが「真実」を手にすることも、そこまでいったら「ある」に違いない。
それを彼らが「脅し」に使うか、どうするのかは分からないけれど…。
(危険なことは、間違いなくて…)
そういう危険を伴うからには、早々にE-1077を、この世から消しておかなければ。
「もう使わない」施設と、とうに終了した実験なら、跡形も無く。
何処かで「キースの次」を作っているのだったら、なおのこと。
(データは全て取った筈だし、私だったなら、そのように…)
古い施設は破壊し、次の実験に全力を注ぐ。
「キース」の統治の後を引き継ぎ、次の時代の要になるべき指導者を育成するために。
なのに、機械は「そうしなかった」。
長い年月、Eー1077を宇宙に捨て置き、無策のままで「其処に置いていた」。
誰が入り込み、「キース」の秘密を暴き出しても、不思議ではない状態で。
(…あれほど、無関心だったのは…)
多分、「キース」で「片が付く」と思っていたからだろう。
ミュウどものことも、人類の、SD体制の行く末にしても、何もかも「キース」が片付ける。
厄介事は「キース」の代で終わりで、其処から先は…。
(どんな輩がトップだろうが、国家元首が空位だろうが…)
安泰だと思い込んでいるのだろうな、と深い溜息が零れ落ちた。
「私の次など、きっと作っていないのだ」と。
ならば、この先、何があろうと、どうなろうとも、「キース」一人が背負うしかない。
後を継ぐ者は、いないから。
どう人類を導こうとも、人類に未来は「無いのだ」と思う。
着実に「次の代」を作って、代替わりしてゆくミュウのようにはいかないから。
ミュウには「次の世代」がいるというのに、「キース」には「次がいない」のだから…。
後を継ぐ者・了
※原作だと、キースの「次」の実験体を作っていたわけですけど、違うのがアニテラ。
「キースの後は、誰が継ぐわけ?」と考えた所から生まれたお話。真面目に、後が無い…。
懲りるということを知らん奴らだ、とキースは溜息を一つ零した。
首都惑星ノアの、国家騎士団総司令のための個室で。
今日もマツカが未然に防いだ、「キース・アニアン」の暗殺計画。
初の軍人出身の元老として、パルテノン入りするのが内定してから、何度目だろうか。
(以前は、暗殺計画を立てる者と言ったら…)
同じ軍人で、出世しそうな者同士での足の引っ張り合いだった。
もっとも、そう考えているのは相手だけのことで、キースは出世に興味など無い。
今までもそうだし、これから先も、その考えは変わらないだろう。
(出世したところで、私は嬉しくなどないし…)
地位にも金にも執着は無いし、出世しなくともかまわない。
終生、ただのメンバーズとして、任務一筋に生きたっていい。
(…だが、そうやって生きてゆくことは、私には…)
けして許されてはいないのだ、と覚悟しているし、諦めてもいる。
「キース・アニアン」は「作られた者」。
Eー1077で、マザー・イライザが無から「キース」を作り上げた。
その目的は、理想の指導者を生み出すこと。
SD体制を揺るぎなく守り、人類を導いてゆくことこそが「キース」の存在意義だと言える。
だから逸脱など許されないし、何処までも出世してゆくしかない。
いつの日か、頂点に立つために。
二百年間も不在のままになっている、国家元首の座に就くことが「キース」の使命。
直接、グランド・マザーの意を受け、人類を、地球を導いてゆく。
(…最初から、そう決められていて…)
そのために作られた人間なのだし、誰にもそれは覆せない。
そうとも知らずに、愚かな人間たちの方では、せっせと暗殺計画を立てる。
かつては軍人だけだったけれど、今はパルテノンにいる元老たちまで加わりつつある。
自分たちの地位を脅かしそうな、目障りな「キース」を消そうとして。
「出る釘は、早く打たねばならん」と、芽を出す前に摘み取り、葬り去るために。
しかし彼らが何をしようと、計画は端から破綻してゆく。
誰も「ミュウ」とは知らない側近、「マツカ」が才覚を発揮して。
サイオンを使って計画を見抜き、暗殺者の弾も「素手で」受け止められるのが「マツカ」。
(…マツカがいる限り、どんな計画を立てても無駄というもので…)
「キース」の命は潰えることなく、出世の階段を昇ってゆく。
グランド・マザーが意図する通りに、パルテノン入りを果たした後には、国家元首の座へと。
(もしも、マツカがいなかったなら…)
暗殺計画を防ぐ役目は、誰が担っていたのだろうか。
今はマツカの活躍のせいで「影が薄い」、本来の部下たちなのか。
(奴らの方では、マツカを能無し呼ばわりで…)
コーヒーを淹れることしか出来ない、と揶揄するほどだし、そうかもしれない。
「マツカ」を拾っていなかったならば、案外、使える人材な可能性もある。
(…そうでなければ、大変なことになるのだからな?)
グランド・マザーが期待する人材、マザー・イライザが作った「キース」。
人類は「キース」を失えないし、グランド・マザーも、それは同じこと。
「キース」無しでは、人類はおろか、SD体制も立ち行かない。
グランド・マザーも充分、承知している筈だし、策を講じることだろう。
部下たちが「使えない人材」だった時には、先手を打って、暗殺者を消してしまうとか。
(…グランド・マザーならば、可能だろうな…)
暗殺計画の実行者を「実行する前に」探し出し、処分することは出来る。
全ての人類を「支配している」機械なのだし、怪しい動きも見抜けるだろう。
(監視カメラをフル稼働すれば、簡単に出来ることなのだし…)
必要とあらば「寝ている間に」全人類の思考もチェック出来る筈。
「キース」に関わりそうな者たちだけを「選んで」やるなら、もっと容易いことだと思う。
(暗殺計画を立てる奴らが、私という芽を、先に摘もうとするように…)
グランド・マザーも、同じ行為を「彼ら」を相手にやってゆくだけ。
「疑わしい者は、葬っておけ」と言わんばかりに、「疑い」の時点で処分する。
軍人ならば、辺境の最前線へでも飛ばして、戦死を装って消せばいい。
元老だったら、車に細工するなど、不慮の事故でいくらでも「消す」手段はある。
グランド・マザーが「消す」と決めたら、誰も逃れることは出来ない。
SD体制の社会においては、全ては「グランド・マザーの御意志」のままなのだから。
つまり、「キース」は「消し去れない」。
誰がどんなに努力しようと、出世を止めることは出来ない。
(私がマツカを拾っていなくて、部下たちも「使えない」者だったなら…)
屍が無駄に増えただろうな、という気がする。
暗殺者と、計画を立てた者だけを「選んで消す」など、グランド・マザーは恐らく、しない。
「そうなる前に」疑わしい者を全て消しておくのが安全な策で、安心でもある。
機械が考えそうな良策、効率の良さも「そちらの方が」遥かにいい。
何人死のうが、代わりは「いくらでもいる」わけなのだし、誰も困りはしないのだから。
(…「キース」が死んだら、そうはいかないのだからな…)
何千人でも「先に殺してしまう」だろうさ、と考えた所で、ハタと気付いた。
確かに「それでいい」のだけれども、「キースの次」はどうなるのだろう、と。
(今は、確かに…)
「キース」がいれば間違いは無いし、SD体制も、地球も、人類の未来も安泰と言える。
現状ではミュウに押され気味でも、機械は危機とは考えていない。
「キース」が頂点に立ちさえすれば、巻き返せると踏んでいるのがグランド・マザー。
そのために「キース」を作ったからには、きっと役立つに違いない、と。
(…確かに、そうかもしれないが…)
勝算はゼロとは言わないけれども、問題は「次」。
暗殺計画を防ぐことは出来ても、「キース」の寿命を延ばせはしない。
「人類」として「作られた」キースは、あくまで「人類」、寿命も人類と変わらない。
ミュウどものように長寿ではなくて、メギドで対峙したソルジャー・ブルーとは事情が違う。
(私は、タイプ・ブルー・オリジンのように、何百年も…)
生きて人類を導けはしない。
せいぜい、もって百年だろうか。
(…その間だけは、グランド・マザーの理想の統治が出来たとしても…)
「キース」の寿命が尽きてしまったら、その次の代はどうするのか。
Eー1077の実験室は、既に「キース」が破壊した。
あそこで「キース」の後継者を作り、育てることは「もう出来ない」。
ならば、何処かで「作る」のだろうか。
それとも、「キース」の「次の代」など、まるで考えてはいないのか。
(…どちらかと言えば…)
後者のような気がするのだが、と恐ろしくなった。
「私の後を引き継ぐ者など、いないのでは」と。
グランド・マザーの言動からして、その可能性は非常に高い。
「キースの次」を考慮に入れていたなら、Eー1077を処分するにしても…。
(…あれほど長く、廃墟のままで放置するよりは…)
早々に消して、痕跡を残さないのが「上策」だろうと思われる。
「シロエ」のように「好奇心旺盛な」探索者の類が、再び出ないとは限らない。
あんな廃校を放っておいたら、調べたくなる者も出るだろう。
(立ち入り禁止、と規制してみても…)
宇宙空間を旅する者は、SD体制に従順な者たちばかりではない。
枠から外れた海賊なども、あの宙域を通る恐れがある。
(何か、お宝でも見付かるかも、と…)
彼らが其処へ舵を向けたら、隅々まで探し回るだろう。
当然、フロア001にも、彼らは「遠慮なく」入り込む。
(マザー・イライザが、それを防げるかどうか…)
怪しいものだな、と「廃校になっていた」Eー1077を思い返した。
監視カメラも、恐らく壊れていたことだろう。
侵入者を探知出来はしないし、迎撃用のシステムが生きていたかも危うい。
「押し入った者たち」は、フロア001に入って「キース」を目にする。
人類の世界で異例の出世を遂げてゆく「キース」と同じ顔の標本、それが「在る」のを。
彼らが「真実」を手にすることも、そこまでいったら「ある」に違いない。
それを彼らが「脅し」に使うか、どうするのかは分からないけれど…。
(危険なことは、間違いなくて…)
そういう危険を伴うからには、早々にE-1077を、この世から消しておかなければ。
「もう使わない」施設と、とうに終了した実験なら、跡形も無く。
何処かで「キースの次」を作っているのだったら、なおのこと。
(データは全て取った筈だし、私だったなら、そのように…)
古い施設は破壊し、次の実験に全力を注ぐ。
「キース」の統治の後を引き継ぎ、次の時代の要になるべき指導者を育成するために。
なのに、機械は「そうしなかった」。
長い年月、Eー1077を宇宙に捨て置き、無策のままで「其処に置いていた」。
誰が入り込み、「キース」の秘密を暴き出しても、不思議ではない状態で。
(…あれほど、無関心だったのは…)
多分、「キース」で「片が付く」と思っていたからだろう。
ミュウどものことも、人類の、SD体制の行く末にしても、何もかも「キース」が片付ける。
厄介事は「キース」の代で終わりで、其処から先は…。
(どんな輩がトップだろうが、国家元首が空位だろうが…)
安泰だと思い込んでいるのだろうな、と深い溜息が零れ落ちた。
「私の次など、きっと作っていないのだ」と。
ならば、この先、何があろうと、どうなろうとも、「キース」一人が背負うしかない。
後を継ぐ者は、いないから。
どう人類を導こうとも、人類に未来は「無いのだ」と思う。
着実に「次の代」を作って、代替わりしてゆくミュウのようにはいかないから。
ミュウには「次の世代」がいるというのに、「キース」には「次がいない」のだから…。
後を継ぐ者・了
※原作だと、キースの「次」の実験体を作っていたわけですけど、違うのがアニテラ。
「キースの後は、誰が継ぐわけ?」と考えた所から生まれたお話。真面目に、後が無い…。
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