忍者ブログ

※pixiv 撤収しましたので、今後は、こちらで。
 最新作には「emoji」のマークをつけておきますけど、まったり更新。



 いらっしゃいませ、管理人の「みゆ」でございます。

2007年の暮れから「地球へ…」で活動していたものの、イロモノなサイト。

ハレブルな聖痕シリーズを2014年に始めるまでは。

聖痕シリーズは只今、月2更新。聖痕シリーズのショートも、月2更新です。

下のバナーからお出掛け下さい、イロモノ回避でハレブル別館に直通です。
 
       

※聖痕シリーズのショートは、別のサイトになります。
   ←こちらから、どうぞv


 こちらに何を置くかは気まぐれ、目次をどうぞ。

ハレブル以外はBL抜きです、思い付くままにアニテラを書き散らかしてゆくらしいです。
 
  
※イロモノな「地球へ…」に行きたい酔狂な方は、下のバナーからどうぞ。
 ハレブル別館も、こちらの中にあるんですけどね。
 

※それとは別に、毎日更新でシャングリラ学園。ただしセリフのみ、阿呆全開。
 「管理人の巣」でもあります、それが下のバナー。
  ←管理人の巣は、こちらから。おバカな私語も毎日更新v
  
        
        
此処から下が目次になります、タイトルをクリックで御覧下さい。
気付けば「ネタ系」が増えていたオチ、そちらは「emoji」マークが目印ですv
数少ない「ブルフィシ」には「emoji」マークがつけてあります。

お気に入りがありましたら、拍手よろしくお願いします。emoji
拍手レスは、こちら→ 
 
   
   
恋人は先生:ハレブル。聖痕シリーズ早分かりなショート、ネタバレ全開。

腕で作る輪:ハレブル。戻って来たブルー。このくらいかな、とハーレイが腕で作る輪。

柔道部は無理:ハレブル。ブルーが自分のクラブに入ってくれたら、と思うハーレイ。

チョダブラム ~女神の首飾り~:ブルフィシです。タイトルはシェルパ語、死にネタ注意。emoji

メギドに死す:グレイブ・マードック大佐の最期。ソルジャー・ブルーに抱いていた敬意。

大切な本:セキ・レイ・シロエの目覚めの日。宝物だったピーターパンの本はどうなる…?

ただ一人の友へ:サムに「赤のおじちゃん」と呼ばれるキース。それでもサムは大切な友。
 
いつか叶うなら:キースのピアスはサムの血だったと知ったマツカ。いつか叶うのなら…。
   
宝物の本:シロエの最期。宝物だったピーターパンの本を大切に持って、ネバーランドへ。
 
無精髭の男:スローターハウス作戦と無精髭のパスカル。かつてキースが教えた頃には…。
 
マヌカの呪文:シロエの好みのホットミルク。「マヌカ多めにね」という注文の意味は…。
 
名前を書いた本:シロエのピーターパンの本。あの本にシロエが名前を書き込んだ日は…。
 
早すぎた語らい:キースがスウェナに、サムに去られたテーブル。其処に来たシロエは…。
 
要らない誕生日:明日は目覚めの日なジョミー。サムにプレゼントも貰ったというのに…。
  
母の似姿:母親などに似せた姿で現れるマザー・イライザ。ならば、シロエのイライザは?
 
シャングリラ学園:イロモノです。遅刻どころか欠席なキース、副住職の事情というヤツ。
 
初めての友人:サムに「一緒に飯食おうぜ!」と誘われたキース。大切な友人との出会い。
 
友の血と共に:子供に戻ってしまったサム。彼を相棒に選んだキース、サムの血のピアス。
   
訊いてみたい本:シロエを部屋に匿ったキース。気に懸かる、シロエのピーターパンの本。
 
友がくれた言葉:サムの見舞いに出掛けたキース。決戦前夜、かつての友から貰った言葉。
 
夢が覚めたら:キースの部屋に匿われたシロエ。両親に助けられたと思って目覚めたら…。
 
後は真っ直ぐ:機械に奪われたシロエの記憶。それを探しに真っ直ぐ歩こうと思っても…。
 
水の記憶:教育ステーションで初めて目覚めた日のキース。どういうわけか、惹かれる水。
 
抉りたい心:キースには過去の記憶が無い、と耳にしたシロエ。自分は過去が大切なのに。
 
友の励まし:シロエを殴ってしまったキース。サムからの励まし、「元気でチューか?」。
 
作りたい世界:初対面のキースを敵視するシロエ。自分が世界を変える野望の邪魔だから。
 
一つだけの記憶:「何も覚えてないのか?」とサムに訊かれたキース。強いて言うなら…。
 
重ねた面影:ソレイドでキースが出会ったマツカ。重なった友とシロエの面影。ならば…。
 
勝者のバイク:ステーションでシロエが乗っていたバイク。キースに勝ったと爽快な気分。
 
励ましたい友:幼馴染がミュウの長だと悲しんだサム。その場で励まし損ねたキースは…。
 
書けない住所:シロエが両親と住んでいた家。幼い頃には、住所をスラスラ書けたのに…。
 
師走の奇跡:シロエの船を撃墜する筈が、何故かバイクに跨ったキース。シロエ生存ED。emoji
 
行けないフロア:キースがシロエに教えられたフロア001。其処へ行こうと試みても…。

厨房から地球へ ~頑張ったおせち~:人生が仕事納めになった面子が、おせち作りを…。emoji

帰りたい家:両親の顔も、家も忘れてしまったシロエ。いつか帰りたい、両親が暮らす家。

聖夜に一冊 ~薄い本を貴女に~:サンタクロースになった地球キャラ。配るのはBL本?emoji

解けない疑問:スウェナの、サムの思いが分からないキース。乱れた心をどうすればいい?

シンデレラのブーツ:お城に行くにはブーツが必要。それを履いていないキースの運命は?emoji

習ったコーヒー:宙港でマツカが出会った老人。教えて貰ったコーヒー、それをキースに。

マッチ売りの少年:大晦日の夜、雪の中でマッチを売るジョミー。けれど、売れなくて…。emoji

誕生日の訪問者:12月27日はキースの誕生日。プレゼントは処分だと考えていたら…。emoji

ゆく年くる年:夜に羊の番をしている人類の面々。其処へ現れた天の軍勢、いや猿回し…?emoji

選べない道:結婚するスウェナを嘲ったシロエ。けれど、スウェナが行くだろう道には…。

罪作りなピアス:捕虜にしたキースの耳に光るピアス。その意味を勘違いしたミュウは…。emoji

初詣にようこそ:ファンの人たちに御礼がしたい、と初詣の神様になったアニテラの面々。emoji

本当の友:ステーションで起きた宇宙船の事故。救助に出掛けて、サムに救われたキース。

白雪姫と王子:グランド・マザーの所に向かったジョミーとキース。そこに七人の小人が。emoji

マードック大佐の事情:旗艦ゼウスの艦長、マードック大佐。彼が万年大佐な事情とは…。emoji

ブラウニーの味:シロエが食堂で見掛けたら注文するブラウニー。母が作ったのと同じ味。

座敷牢の男:ナスカでミュウに囚われたキース。奇跡的に存在した捕虜の監禁場所の実態。emoji

眠れる船の美形:昏睡状態に陥ったブルー。目覚めて貰わないと困るジョミーの作戦は…。emoji

罪人の証:シロエの船を撃墜したキース。初めて殺した人間がシロエ、その罪はきっと…。

老けない人類:グランド・マザーにキースが投げた質問。それに対する答えは衝撃的で…。emoji

夢の中の瞳:マツカの夢に現れる、ソルジャー・ブルーの瞳。本当に出会った時の瞳は…。

イライザの人形:フロア001でシロエが知ったキースの正体。歌って踊れる人材だとか。emoji

忘れなかった夢:ネバーランドへ行きたかったことを覚えているシロエ。子供時代の夢を。

エリートの初恋:メンバーズになったキース。あれが自分の初恋だった、と気付いても…。emoji

裸のソルジャー:集中力が持続しない、と言われるジョミー。集中力を高めるためには…。emoji

ゆりかごのレクイエム:E-1077に向かったキース。フロア001で知った真実は…。

空からの帰還:落下するブルーを見失ったジョミー。落ちて来たブルーを見付けたシロエ。emoji

見付けた真実:フロア001に入り込んだシロエ。其処で見付けたキースそっくりのモノ。

主席が愛した少年:キースが持ち続けていたシロエの写真。キース亡き後、誤解した人々。emoji

時をかける少年:ジョミーが見付けたスピードウィル。それで走るとタイムリープだとか。emoji

殺せない子供:ミュウの捕虜になってしまったキース。其処へジョミーが連れて来た子供。

心中メギドの草紙:ブルーと心中の危機だったキース。しかし、よくよく考えてみたら…。emoji

気になる匂い:「あなたの匂いがする」とシロエが嫌った、キースのシャツ。臭うわけ…?emoji

仕組まれた罠:シロエが知りたいキースの過去。けれども、エラーメッセージばかりで…。

三つの世界:フィシスが手に入れた魔法のランプ。青い地球がある世界に行くためには…。emoji

少年の末路:イケメンに成長したジョミー。けれど、このまま成長したならオッサンに…?emoji

返すべき本:逮捕されたシロエ。彼にピーターパンの本を返さねば、と追い掛けるキース。

ナキネズミの価値観:キースに挑んだナキネズミのレイン。心を読んだら、毛刈りの危機?emoji

ソルジャーの名前:今はソルジャー候補なジョミー。就任したら、ソルジャー・ジョミー?emoji

底に少しだけ:キースがカップに残すコーヒー。それが残る意味に気付いたマツカの祈り。

隠された父:シロエには思い出せない父。けれど、データがあるかも、と捜してみたら…。

ミュウたちの社歌:シャングリラに毎朝、流れる社歌。それは景気よく、「鈴木建設」と。emoji

恐るべき後継者:ジョミーに補聴器を渡されたトォニィ。置き去りになんて出来ないのに。emoji

彼方からの記憶:スウェナと再会したキース。「ピーターパン」という言葉で止まった足。

幸運の赤いマント:ソルジャー候補なジョミーのマント。赤に決まった理由は申年だとか。emoji

補佐官の厄日:キースの補佐官を拝命したセルジュ。けれどキースにはスルーされるし…。emoji

戻りたい夢:子供時代の夢を見たシロエ。夢の中では見えていた筈の両親の顔。ならば…。

拾った人生:メギドを沈めたソルジャー・ブルー。気付けば周りは漆黒の宇宙、この先は?emoji

刷り込みの誤算:水槽の中で育ったキース。外に出されたら起こる刷り込み、その結果…。emoji

伝説のミュウ:キースが出会ったソルジャー・ブルー。負けたと思った男。次は勝ちたい。

反逆のシロエ:E-1077に向かう船では可愛かったシロエ。華麗なる高校デビュー…?emoji

勝ち取った予算:ヤケ食いしたいソルジャー候補、ジョミーの直訴。お小遣いをくれ、と。emoji

ソルジャーの席:シャングリラのブリッジには無い、ソルジャーの席。それが無い理由は?emoji

目覚めたサイオン:フロア001で捕まったシロエ。囚われの身から自由になれたのは…。

勢いで地球へ:テラズ・ナンバー・ファイブを倒してしまったブルー。ジョミーの運命は?emoji

優しかった人:キースの首を締めるトォニィ。「ブルーは優しい人だった」と。優しい人?emoji

生かしたいミュウ:キースがマツカを生かした理由。二人目のシロエはもう見たくないと。

誤解された長:青の間に初めて入ったジョミー。待っていたブルーはヘッドフォンを着用。emoji

主席の必需品:元老になったキースの仕事は座業の日々。椅子に座るのが辛いとなると…。emoji

地球の緑の丘:シャングリラが去って行った後の地球。ジョミーとキースが思うことは…。

背伸びした言葉:シロエが悔やむ記憶の断片。「父さん」と「母さん」、背伸びした言葉。

ヤエのスカート:ジョミーが不思議に思うもの。やたら短いヤエのスカート、それに生足。emoji

ソルジャーの制服:寝間着でコンビニ、家ではジャージ。その精神がシャングリラだとか。emoji

守りたい人:キースに届いた毒入りの食事。それを見抜いて処理するマツカ。守るために。

落とした記憶:ナスカに墜落したキース。意識が戻れば記憶喪失、候補生時代な好青年…?emoji

此処に在る本:スウェナがキースに渡したもの。シロエの宝物だった、ピーターパンの本。

逆転した立場:メギドの心臓部は精密機械。其処でキースが発砲したから、勝者はブルー。emoji

身を守る鎧:マザー牧場の羊にならないように、と努力するシロエ。嫌われて孤立しても。

負けられない顔:イケメンに育ってゆくブルー。ピンチなヒルマンとゼルとハーレイは…。emoji

スプーンに一杯半:幼いフィシスに夢中なブルー。長老たちがブルーに仕掛けた悪戯は…。emoji

飛び去った鳥に:シロエの船を撃墜した後のキースの思い。マヌカ入りのシナモンミルク。

孤高のチキン:ニナにモーションをかけられたのに、スルーしたジョミー。その理由は…。emoji

機械の思惑:成人検査でシロエが奪われた過去。どうせ奪うなら、子供時代を何故与える?

出したい必殺技:ソルジャー候補なジョミーの悩みは集中力。必殺技があれば出来るかも?emoji

返したい本:キースに下った、E-1077の処分命令。行くのなら、シロエにあの本を。

裏切り者の薬:ミュウのためにと、マツカが足止めしたキース。飲めば頑固な便秘も解消。emoji

ぼくは誰なの:シロエが手繰った故郷の記憶。思い出せない、子供時代に好きだった場所。

ミスった人質:シャングリラから脱出しようとしたキース。人質を一人解放したものの…。emoji

壊された友:サムを覚えているか、とジョミーに尋ねたキース。尋問されていた時のこと。

秘密の尋問:ナスカでキースを捕虜にしたものの、読めない心。BLな脅しは有効ですか?emoji

自由への船出:E-1077から宇宙へと逃亡したシロエ。彼の意志は何処にあったのか。

奇跡のその後:シロエ生存EDな「師走の奇跡」の後日談。日本で高校生になったシロエ。emoji

六人のマツカ:「我々は時代遅れなのだ」というキースの嘆き。今の世の中「松」だらけ。emoji

友の血のピアス:キースが再会したサムは殺人者という扱い。サムには人は殺せないのに。

ソルジャーの寝相:訓練の時も必ずコレで、とジョミーが着せられたソルジャー候補の服。emoji

花屋と暴力団員:メギドから現代の日本に飛ばされてしまった、キースとブルー。さて…?emoji

血を持たぬ者:キースに殴られたシロエ。口の中に広がった血の味、キースは知らない味。

少年の悩み:フィシスに失恋したジョミー。夢の女性は五十歳も上、おまけにブルーは…。emoji

シャングリラに萌え:キースが仰天したミュウの作戦。萌えキャラにコラボカフェですと?emoji

ラスコーの反乱:「冷徹無比な破壊兵器」と異名を取ったキース。そう呼ばれる理由は…。

カエルの王子様:ソルジャー・ブルーがかけた最後の呪い。なんと、キースがカエル語に。emoji

なり損ねた天使:シロエが考えた「死」というもの。子供の頃に死んだら失くさない記憶。

最初のグランパ:トォニィに「グランパ!」と呼ばれたジョミー。それ、どういう意味…?emoji

作られた生命:E-1077を処分した後、戻る船でのキースの苦悩。ミュウにも劣る命。

※下の2つは2016年7月28日記念創作。シリアスとネタと。
 
青い星まで:メギドを沈めたブルーの願い。「地球を見たかった」と。そして青い地球へ。

老人とメギド:ブルーを一人でメギドに行かせて、叱られるジョミー。強すぎる長老たち。emoji

母を真似る機械:マザー・イライザに初めて出会ったシロエ。故郷の母だと思ったのに…。

最強の剣士:お伽話の王子様みたい、とジョミーが思った大袈裟なマント。王子なら、剣?emoji

作れない友:ミュウの版図が拡大する中での、キースの思い。いる筈だった二人の友は…。

助けられたテスト:夢の世界で成績ドン底なキース。落第の危機を救ってくれた面子は…。emoji

嘘で出来た世界:シロエが失くした両親の記憶。優しかった両親さえも、嘘をついていた。

盗られた制服:ソルジャー候補なジョミーの部屋から消えた制服。代わりに女性用の制服?emoji

長としての道:ブルーが見た成人検査の時の夢。今も救えないミュウの子供は多い筈で…。

選んだピアス:サムの血で作ったピアスをつけようと決意したキース。何故ピアスなのか。

無免許なキャプテン:実は無免許なキャプテン・ハーレイ。筆記試験に落っこちたせいで。emoji

乗れない練習艇:シロエの年では操船出来ない練習艇。それに乗りたいのに下りない許可。

江戸の町医者:SD体制が崩壊した後、キースとジョミーがいたのは江戸時代。どうする?emoji

出来ない生き方:キースには真似られない、ソルジャー・ブルー。彼のように死ねたら…。

憩いのサウナ:長老たちに直訴だ、と出掛けたジョミー。その先に待っていたものとは…。emoji

友達の記憶:友達を作ろうとしないシロエ。けれど故郷では…。今も消えない友達の記憶。

拾われた少年:キースに船を撃墜された後、シロエを拾ったのは海賊船。シロエ生存ED。emoji

永遠の敗北:ソルジャー・ブルーにメギドを沈められた後。キースの心を占めるものは…。

天国の緑の丘:「最後まで私は一人か」と死んだキースを、天国で待ち構えていたのは…。emoji

部屋を出たなら:故郷の家の住所が思い出せないシロエ。家から何処かへ行く道の記憶は?

グランパは嫌だ:地球の地の底、キースに「ジジイ」と言われたジョミー。まだ死ねない!emoji

幸福な生命:かつてシロエに「幸福なキース」と言われた理由。本当に自分は幸福なのか。

パクりたい頭脳:急成長を遂げたトォニィ。けれど頭は三歳児なわけで、学校も無くて…。emoji

過去を持たぬモノ:フロア001でシロエが見たモノ。胎児から並んだ「キース」の群れ。

大いなる沈黙へ:夢の中で修道士見習いになってしまったキース。厳しい孤独と沈黙の掟。emoji

偽りの生まれ:国家騎士団総司令に昇進したキース。知らない者など無い、その名前は…。

ミュウたちの主食:ジョミーが連れて来られたシャングリラ。人気メニューは麺類だとか。emoji

見られない夢:シロエが見詰めるピーターパンの本。その中にネバーランドを探しても…。

やり直した人生:メギドで死んだソルジャー・ブルー。なのに成人検査を受けた日の自分。emoji

ハロウィンの船:カボチャと骸骨まみれのシャングリラ。ジョミーが驚いている間にも…。emoji

追いたくない船:宇宙に逃亡したシロエ。彼の船を追って飛び立つまでの、キースの思い。

人のいいリオ:ジョミーを救いに地球に降りたリオ。女性を助けて岩の下敷き、そして…。emoji

記憶が無ければ:キースには過去の記憶が無い、と耳にしたシロエ。胸を占める思いは…。

撃ってしまう人:後ろから近付いた者は撃つキース。もちろんマツカも例外ではなくて…。emoji

ゆりかごの因子:自分は「ミュウの女」の遺伝子データを継いだ、と知ったキースの衝撃。

アルビノを目指せ:カリスマではブルーに敵わないジョミー。せめてアルビノだったなら。emoji

機械の手駒:いい成績を収めても、マザー・イライザが得をするだけだ、と悔しいシロエ。

その後の事情:ソルジャーを継いだトォニィの悩み。「お年頃だから」と勧められる縁談。emoji

置いてゆく友へ:元老になったキース。ソル太陽系でミュウと戦うのなら、ノアのサムは?

ミュウたちのゴジラ:メギドの炎で目覚めた怪獣。それを「モスラ」と崇めるミュウたち。emoji

イライザの羊:シロエが耳にした聖書の話。人間という羊を飼っている神。それならば…。

風と木の騎士団:ジルベスターでキースについた部下たち。妙に面子が濃すぎる理由は…。emoji

もういない者へ:マツカの死を実感できないキース。彼の弔いに出たら、違ったろう結果。

消せない肖像:ソルジャー候補のジョミーに、船の仲間たちが隠し事。おまけに笑って…。emoji

いつか失くすもの:いつかトップに立ちたいシロエ。けれど、その頃には自分の姿形は…?

起こしたい奇跡:ブルーが貰った「奇跡を起こす力」。けれど制約が…。マツカ生存ED。emoji

流れない涙:サムの死を知らされたキース。悲しみが心に溢れているのに、目から涙は…。

鬼のソルジャー:「ぼくは甘すぎる」と思ったジョミー。地球に行くには鬼にならないと。emoji

国家主席の迎春:旗艦ゼウスでキースが見た夢。寺の鐘を撞くのが遅れて、叱られる朝…?emoji

ピーターパンの欠片:シロエの夢に現れるピーターパン。残してゆく、赤いマントの残像。

腰が低い人:訓練をサボるジョミーを脅したブルー。リオの正体は「御庭番」なのだとか。emoji

死神を待つ:ミュウとの会談を控えた夜。警備兵を下がらせ、銃も持たないキースの胸中。

賞金の行方:グランド・マザーが、ソルジャー・ブルーに懸けた賞金。金貨十万枚だとか。emoji

探り当てた秘密:キースの秘密を探り続けるシロエ。E-1077の奥深く潜り込んで…。

お好みの花は:「家に帰せ」とブルーに怒鳴ったジョミー。帰る前に一つ訊かれたことは?emoji

Mの拠点へ:ジルベスターに向かって旅立ったキース。サムの仇のM、けれどシロエもM。

カモられる元老:パルテノン入りを果たしたキース。けれど芸術音痴なのを嘲られる日々。emoji

逃れたい窓:窓が無いE-1077の個室。其処でシロエが焦がれる自由。窓の外には…。

健在な人:「三年、ぼくの死を隠せ」というブルーの命令。そして死なずに昏睡状態で…。emoji

持たない自由:自分は作られたものだ、と自覚するキース。何処までが機械の計算なのか。

最強のアサシン:ナスカ崩壊の後、悲嘆に暮れるフィシス。望みはブルーの仇を討つこと。emoji

奪われた名前:シロエが気付いた自分の名前。「レイ」というミドルネームには意味が…?

刺さった少年:ジョミーの部屋の壁に刺さったナキネズミ。「馬鹿だ」と思ったくせに…。emoji

出来過ぎた偶然:サムの見舞いを続けるキース。そのサムが壊れた原因は「キース」かも。

少年は守護霊:マツカにしか見えない、キースの側にいる少年。黒髪に紫の瞳の少年で…。emoji

失われた記憶:E-1077の中庭の花。シロエも覚えている名前。けれど、欠けた記憶。

ミュウたちの風呂:シャングリラに連れて来られたジョミー。嫌すぎるのが、彼らの風呂。emoji

  
目次その2は、こちら→http://blueterra.kyotolog.net/Entry/205/
   
  
                                                                    
                                                                       
                                                                     
                                                                       
                                                                       
                                                                       
                                                                       
                                    
                       
                           
                    

拍手[7回]

PR
(……サム……)
 やはり治せはしないのか、とキースは深い溜息をついた。
 Eー1077で共に過ごした旧友、サムの心は戻っては来ない。
 今日の昼間に、病院で医師から説明を受けた。
 壊れてしまったサムの精神、それを元に戻すことは不可能なのだ、と。
(私にはもう、どうすることも…)
 出来はしなくて、手は残されてはいなかった。
 新しい主治医を手配した時、「あるいは」と期待していたのに。
 淡い希望を心に抱いて、これ以上は無い最高の医師に、サムを診察させたのに。
(…この日のために、私は出世をして来たのだ、と…)
 心の何処かで思っていたほど、その医師は「腕がいい」との評判だった。
 並みの者では治療を受けるどころか、診察さえもしては貰えないのが、サムの新しい主治医。
 サムが入っている病院にしても、本来ならば「サムが入れる」病院ではない。
(…ジルベスター、セブンに赴く前に…)
 キースは、サムの現状を知った。
 いや、知らされたと言うべきだろうか。
 ジルベスター・セブンの近くを航行していて、事故に遭い、精神が崩壊した、と。
(驚いてサムの居場所を調べて、それから…)
 今、サムがいる病院へと、急いで転院させた。
 元々、サムを診ていた所は、一般市民が行く病院で、医師の能力もさほど高くはない。
 それでは治せないのも仕方なかろう、と考えて手を打つことにした。
 メンバーズ・エリートの地位と特権を、初めて「自分のために」使って。
(エリートのための病院だったら、治せるだろう、と…)
 思ったけれども、診察した医師は「無理だ」と匙を投げてしまった。
 だから、卒業して以来、初のサムとの再会、それは全く意味が無かった。
 サムは「キース」を、「まるで覚えていなかった」から。
 警戒と怯えの入り混じった目で、サムは、かつての「友人」を見た。
 「おじちゃん、誰?」と、距離を取ったままで。
 子供に戻ってしまったサムには、キースは「知らないおじちゃん」だった。
 そうなったサムを、長い年月、見守り続けて、此処まで来た。
 国家騎士団総司令の座に昇り詰めて、最高の医師を手配出来るようになる所まで。
 もうこの上には、パルテノンの元老くらいしか「地位の高い」者たちはいない。
 その人数はごく僅かだから、今のキースなら、彼らを診察する医師の治療を受けられる。
(だからこそ、私を診させる代わりに…)
 サムの治療を任せてみたのに、結果は前と変わらなかった。
 懐かしい友の心は治らず、もう永遠に「かつてのサム」は戻っては来ない。


 けして会うことが出来ない「友達」。
 何度、病院まで会いに行っても、其処にいるのは「子供時代を生きている」サム。
 そういうサムにも慣れたけれども、やはり「昔のサム」に会いたい。
 Eー1077で一緒に過ごした、あの頃のサムに戻って欲しい。
(…そのためだけに、上を目指したわけではないが…)
 もちろん他にも目的はあるし、任務よりも「サムの治療」を優先したりもしない。
 公私混同してしまうほど、「キース」は無能ではないのだけれど…。
(それでも、サムのこととなったら…)
 普段は殺している筈の自我が、俄然、頭をもたげて来る。
 「今の私に出来る最高のことを、サムのためにしてやりたい」と。
 病院も病室も、サムを診る医師も、「キースの地位」に相応しいものでなくてはならない。
 一般市民と「サム」を同列に扱わせておきはしないし、見舞いの折には確認もする。
 サムが充分な治療を受けているか、環境や看護師なども行き届いたものになっているのか。
(そうやって今日まで走り続けて、ようやく本当に最高の医師を…)
 サムの主治医に出来たというのに、サムは「治りはしない」という。
 あまりにも残酷すぎる告知で、心が崩れ落ちそうだった。
 覚悟していた言葉とはいえ、受け止めるまでに時間がかかった。
 「本当に、サムは治らないのか!」と、医師の前で声を荒らげもして。
 出来る手は全て尽くしたのかと、検査結果を説明する医師に詰め寄って。
(…私らしくもない行動だが…)
 ああしないではいられなかった。
 「サムは戻る」と信じたかったし、希望を失いたくはなかった。
 もっとも「キース」の怜悧な頭脳は、現実を見据えていたのだけれど。
 医師が示したデータを眺めて、「無理だ」と、客観的に捉えて。
 とはいえ、それとこれとは別の話で、今も納得してなどはいない。
 「もう戻らない」サムを諦める日など、けして来ないし、来る筈もない。
 奇跡を信じるわけではなくても、諦めはせずに、ずっと待ち続けることだろう。
 いつの日か、「サム」が戻るのを。
 昔のサムと同じ目をして、「キース!」と呼んでくれる時が来るのを。


(…そう、いつまでも…)
 私はサムの帰りを待とう、と改めて自分の心に誓った。
 この先、サムの状態が更に悪化しようと、サムを諦めたりはしないで、ただ待ち続ける。
 サムがこの世に生きている限り、望みは消えはしないのだから。
(何十年でも、待って、待ち続けて…)
 治せる時が来るのを待つさ、と思ったけれども、自分にもサムにも寿命がある。
 それが尽きたら、どうすることも出来ないだろう。
 そして「人間」の寿命は短い。
 これが宿敵のミュウだったならば、寿命は人類の三倍なのに。
 キースが、サムが「待てる」時間よりも、長い年月を生きてゆくことが出来るのに。
(…三倍もあれば、新しい治療法が出来る可能性は大きいな…)
 そういう意味でも忌々しくなる化け物どもだ、と舌打ちをして、ハタと気付いた。
 「ミュウだった友」も、いたのだった、と。
 もっとも、「友」と呼んでいいかは、難しい部分があるのだけれど。
(…セキ・レイ・シロエ…)
 Eー1077を卒業する間際、この手で、彼が乗った練習艇を落とした。
 ミュウだったシロエは宇宙へ逃れて、「停船しろ」との呼び掛けに応じなかったから。
(しかし、あの時…)
 シロエが船を停めていたなら、どうなったろう。
 あの時、シロエの心が「とうに常軌を逸していた」ことは知っている。
 彼は子供の心に戻りつつあって、子供時代の夢の残像を追い続けたまま「飛んでいた」。
 そのまま飛んでゆけば「撃墜される」ことも知らずに、自分の夢が導くままに。
 子供時代から追っていた夢、その夢が叶う場所を目指して、ただ懸命に。
(…あの状態のシロエを、連れ帰ることが出来たなら…)
 恐らくシロエは「殺されはせずに」、飼っておかれたことだろう。
 既に心が壊れているなら、システムに反抗的であった過去など、問題ではない。
 「子供に戻ってしまったシロエ」は、SD体制にとっては何の脅威でもない「ただのミュウ」。
 しかも、かつては「キース」と肩を並べるほどに「優秀だった」者でもある。
 格好の研究材料となって、あれこれ調べられ、殺されることなく生きていたろう。
(きっと、そうだな…)
 Eー1077は、「キース」を完成させた時点で用済み、シロエの件にかこつけて…。
(廃校にしてしまうのだろうが、その原因だとされる「シロエ」は…)
 密かにノアへと移送されて来て、「今も生きていた」に違いない。
 サムのように成長したりはしないで、あの頃と変わらない姿のままで。
 いつまでも「少年の姿」を保って、子供時代の夢に浸り続けて。


 もしもシロエが「生きていた」なら、どうしただろう。
 恐らく、Eー1077を卒業してから数年間は、それを知る機会は無かったと思う。
 メンバーズとはいえ「キース」の地位はまだまだ低いし、機密に触れるチャンスは無い。
 けれど、ジルベスター・セブンに行った後なら…。
(私は、ミュウどもと対峙する、最前線に立っていたわけで…)
 そうなれば当然、「シロエ」のことも耳にしないではいられない。
 かつて自分が競った相手が、今も「生かされている」のだ、と。
 研究対象としてだとはいえ、他の実験体とは違って、命も保証されていることを。
(それを聞き付けたら、私はどうする…?)
 会いに行かないわけがないな、と答えは直ぐに弾き出された。
 「シロエ」が今も生きているなら、急いで会いに出掛けるだろう。
 そして病院にも似た研究所で、子供に戻ってしまった「シロエ」と再会する。
 きっとシロエは、サムと似た目で「キース」を眺めて、怯えながらも…。
(おじちゃん、誰、と…)
 問い掛けて来て、菫色の瞳を瞬かせる。
 「ぼくを迎えに来てくれたの?」と、遠い日に追った夢の続きを、まだ追いながら。
 ネバーランドか、あるいは地球か、其処へ「連れて行ってくれる人」なのか、と。
(…そんなシロエを目にしたならば…)
 もう放ってはおけないだろうな、と容易に想像がついてしまった。
 研究者たちが何と言おうと、頻繁に「シロエ」に会いにゆく自分が目に浮かぶ。
 サムの見舞いに通ってゆくのも、シロエの様子を見に出掛けるのも、どちらも同じ。
 「かつての友」に「会いに出掛けてゆく」ための時間で、行った先に「友」はいなくても…。
(私を覚えていてくれなくても、私にとっては大切な友で…)
 少しでも時間を分かち合いたいから、シロエの許にも通うのだろう。
 サムのように治療はしてやれなくても、研究者たちを放り出しておいて、話をしに。
 子供に戻ったシロエが語る昔話に相槌を打って、シロエの興味を引く話もして。
(…今の私なら、研究材料にされているシロエだろうと…)
 差し入れに菓子を持って行っても、誰も文句を言いなどはしない。
 シロエが「ママが作るお菓子は美味しいよ」と、菓子の名前を語ったならば…。
(その菓子を部下に買って来させて、土産に提げて出掛けて行って…)
 一緒に食べるのも悪くないな、と思うものだから、シロエにも会いに行きたかった。
 サムのように「壊れてしまっていても」、今も生きていてくれたなら。
 あの時、宇宙に散りはしないで、少年の姿のままで夢に浸って、今も「いる」なら…。



            生きていたなら・了


※シロエがサムのようになって生きている可能性、アニテラだったらあるんですよね。
 原作と違って正気じゃなかった、撃墜された時のシロエ。もしも生きていたら、というお話。






拍手[1回]

(ネバーランドよりも、素敵な地球ね…)
 でも本当にそうなのかな、とシロエは机の前で考え込む。
 一日の授業と予習復習、全てを終わらせた後の、夜の個室で。
 遠い昔に、父から聞いた「地球」という言葉と父の声とが、今でも耳に残っている。
 「ネバーランドよりも素敵な場所さ」と、父は笑顔で話してくれた。
 選ばれた人しか行けないけれども、「シロエなら行けるかもしれないな」とも。
 そう聞かされた時から地球に憧れ始めて、選ばれるために努力を重ねた。
 成績は常にトップだったし、運動だって頑張った。
(…結果としては、エリートコースに来られたけれど…)
 引き換えに失ったものは多くて、記憶さえも機械に奪い去られた。
 父の声はハッキリ覚えていたって、その顔を思い出すことは出来ない。
 「笑顔だった」ことが分かるというだけ、どんな顔立ちで笑っていたのか見えては来ない。
(誰も教えてくれなかったよ…)
 成長して大人の社会に行くには、「過去を捨てねばならない」なんて。
 知っていたなら、もっと時間を大切にしたことだろう。
 勉強のために注ぎこむ代わりに、両親と一緒に過ごす時間を「もっと長く」と。
 食事が済んだら「直ぐに勉強を始める」などは、今にして思えば、愚の骨頂でしかない。
 勉強なんかをやっていないで、父や母と話をするべきだった。
 母が後片付けをしているのならば、それを手伝い、片付けの後は両親の側で…。
(コーヒーは苦くて好きじゃなくても、ホットミルクとか…)
 それともココアか、ジュースでもいい。
 子供の舌に合う飲み物を貰って、ゆっくり、のんびりすれば良かった。
 そうしていたなら、機械に記憶を奪われた後も、「残った記憶」が多かったろうに。
 両親の顔はぼやけていたって、三人で囲んだテーブルは忘れていない、とか。
(…失敗したよね…)
 もう取り返しはつかない過ち。
 幼かった日に戻れはしないし、幼い自分に真実を告げることも叶わない。
 仕方なく「地球」を目指しているのだけれども、其処は本当に「素敵」だろうか。
(…あの時、パパは知ってたのかな…?)
 地球という場所に、「子供たちの姿は無い」ことを。
 選ばれたエリートだけが暮らす世界で、一般市民がいるかどうかも分からない。
(地球の社会の、優秀な構成員として…)
 一般市民という役割を担う、普通人のコースのエリートならば、いる可能性もゼロではない。
 けれど「子供」は確実に「いない」。
 大人の社会と子供の社会は、明確に分かれているのだから。


 子供が暮らせる場所と言ったら、今の世界では育英惑星だけしか無い。
 一般人向けのコースで選ばれ、養父母としての教育を受けた大人が派遣される星。
(それ以外の星には、子供なんかはいやしない、って…)
 Eー1077に来てから学んだ。
 だから当然、首都惑星のノアにも「子供は一人もいない」のだ、とも。
(…首都惑星でも、子供は一人もいないなら…)
 人類の聖地という名で呼ばれる「地球」には、なおのこと「子供はいない」だろう。
 地球は育英惑星ではなく、首都惑星よりも格が上になる「最高の場所」と言えるのだから。
(そういう意味では、ネバーランドよりも素敵なのかもね…)
 宇宙の中で最高だったら、地球を超える場所は何処にも無い。
 「地球よりもいい場所は何処ですか?」と誰に訊いても、ただ笑われるだけだろう。
 「そんな場所、ありやしませんよ」と。
 「最高に素敵な場所と言ったら、地球の他に何処があるんです?」などと尋ね返されて。
(…それは分かっているんだけれど…)
 子供が一人もいない場所など、本当に「素敵」と言えるだろうか。
 その上、地球が「素敵」かどうかは、かなり怪しいという気もする。
 本当に素敵な場所だと言うなら、どうして「首都惑星にしない」のか。
(人類は地球を駄目にする生き物だから、と言うにしたって…)
 選び抜かれたエリートだけで「地球の社会」を構成するなら、何の問題も起こらない。
 彼らは愚かなことなど「しない」し、機械の指示に素直に従い、環境の維持に努めるだろう。
(維持するどころか、良くするための努力を重ねて…)
 美しかったと聞く地球の姿を、完璧に取り戻すために働き続ける。
 今はエリートしか行けない場所でも、いつかは一般市民でも…。
(住むのは無理でも、ちょっと旅行に出掛けるくらいは許されるほどに…)
 地球の環境を整え直して、「人類の聖地」が皆に門戸を開く時代を築けると思う。
 現に「そのための整備」が続けられ、今も続行中だと習った。
 成果は順調に上がっているから、それを無にしてしまわないよう、「近付くな」とも。
(…でも、本当にそうなのかな…?)
 実は騙されているんじゃあ…、と疑いたくなる日だってある。
 機械は「嘘をつく」ものだから。
 平気で人を騙し続けて、偽りの世界を作り上げもする。
 現に自分は「騙されていた」。
 大人になるには「記憶を奪われ、忘れる」ことが必須と知らずに、懸命に勉強し続けて。


 本当の地球がどんな場所かは、行ってみるまで分からない。
 「行ける資格」を手に入れたって、まだ「騙されている」かもしれない。
 地球に行けるほどのエリートだったら、その使い道は幾らでもある。
 「地球」という餌で釣り、優秀な人材を大勢育てて、地球の土を踏ませる代わりに…。
(全く違う場所に派遣して、色々な任務を任せるだとか…)
 如何にもありそう、と顎に手を当て、大きく頷く。
 そうやって「上手く騙す」ためなら、機械はいくらでも嘘をつくことだろう。
 本当の地球は、美しい星ではなかったとしても「美しい」と。
 今も人間が住めない場所でも、「選ばれた人たちが暮らしています」と、虚言を吐いて。
(…もし、そうだったら…?)
 地球の「本当の姿」がそうだとしたなら、ネバーランドよりも素敵な場所とは言えない。
 子供たちの姿が無いだけではなく、選ばれた優秀な人間でさえも「住めない」のなら。
(…そんな星でも、素敵だなんて…)
 絶対に認められはしないし、子供の姿が無いというのも、充分にマイナスの要素ではある。
 果たして「自分」は、本当に「地球に行きたい」のか。
 地球に在るという巨大コンピューター、グランド・マザーは「停止させたい」けれども…。
(…ネバーランドか、地球か、どちらかを選べと言われたら…)
 自分はどちらを選ぶだろうか、と胸の奥がズシリと重たくなった。
 もしも天使が此処に現れ、「選びなさい」と告げて来たなら、どうするだろう。
 選んだ結果が、どう転ぶのかは、天使は教えてくれなどはしない。
 神の使いで来るのが天使で、「シロエの答え」を神に伝えに行くのも天使。
(…地球を選ぶべきか、ネバーランドを選ぶべきなのか…)
 決めるのはあくまで自分自身で、神は結果を「与える」だけ。
 「地球に行きたい」と答えたならば、「機械を止めるために行く」のを評価されて…。
(御褒美に、ネバーランドに繋がる扉を…)
 神が開いてくれるかもしれない。
 「少しくらいなら、息抜きをしてもいいでしょう」と。
 あるいは「任務が重くて疲れた時には、此処から飛んで行きなさい」だとか。
 逆に「ネバーランドがいい」と答えたのなら、そちらはそちらで…。
(子供の心を忘れていない、って評価してくれて…)
 ネバーランドへの扉が開くかもしれないけれども、選べる道は一つだけ。
 選んだ答えが「神の意に沿わなかった」場合は、地獄に落とされるかもしれない。
 「地球」と答えたら、「子供の心を大事にしていない」と評されて。
 「ネバーランド」と答えた瞬間、「自分の使命を投げ出すのか」と神が怒って。


 どちらが「正しい答え」なのかは、神と天使しか知らないこと。
 けれど「選べ」と言われたからには、シロエに出来るのは「選ぶ」ことだけ。
 選んで答えを返すのだけれど、その時に、嘘をついたなら…。
(それはそれで、「正直に選ばなかった」と…)
 地獄の底へと突き落とされて、ネバーランドへの扉は開かないだろう。
 ならば、自分は、どう答えるのか。
 嘘を言わずに「正直に」選んで、神が下した裁きと結果を受け入れるなら…。
(……地球なんかより……)
 ネバーランドを選ぶんだから、とシロエは拳を固く握り締める。
 父から「地球」と聞くよりも前から、ネバーランドに焦がれていた。
 今も行きたくてたまらない場所で、選べるのなら「地球」など、どうでもいい。
 「子供が子供でいられる世界」を作れなくても、機械に奪われた記憶が戻らなくても…。
(…正直に選んで、逃げていいなら…)
 パパとママが好きだったことを忘れない内に、それを選ぶよ、と心から思う。
 選んで答えを告げた途端に、神の怒りに触れようとも。
 ネバーランドへの扉が開く代わりに、永劫の煉獄に落ちてゆこうとも。
(…だって、今のぼくは、どうしても…)
 両親がいた家と、その思い出と、ネバーランドへの憧れを忘れられないから。
 それを隠して「地球に行きたい」と嘘をつくことは出来ないから。
 正直に選んでそうなるのならば、その選択に後悔は無い。
 「嘘をつく」のは、機械の得意技だから。
 機械を憎み続ける以上は、神に向かって嘘をつくなど、自分の誇りが許さないから…。



            もしも選ぶなら・了


※ネバーランドと地球。シロエは本当はどちらに行きたかったのかな、と考えたわけで。
 キースに撃墜される直前、朦朧としながらも夢見た先は、地球という名のネバーランド…?







拍手[1回]

(やはり、マツカが淹れるコーヒーは美味いな)
 私にはこれが一番合う、とキースはコーヒーのカップを傾けた。
 一日の終わりに、自室でゆったりと味わう一杯、それが習慣になって久しい。
 いつからそうして過ごしているのか、自分でも思い出せないほどに。
(マツカを側近に据える前には、これといって決まった部下もいなくて…)
 コーヒーを運んで来る者はいても、誰だったのかは覚えていない。
 ついでに「美味い」と思っていたか否かも、今となっては謎と言ってもいいだろう。
(私は昔からコーヒーが好きで、何か選んで飲むのなら…)
 コーヒーだったというだけのことで、それ以上でも以下でも無かった。
 ミュウの「マツカ」を側近にして、飲み物を彼に任せるようになるまでは。
(…そうには違いないのだが…)
 マツカが淹れるコーヒーが「最初から」美味だったのかは、記憶に無い。
 ソレイドで初めて出会った時に、マツカが淹れて来たコーヒーは…。
(ひと騒動あった後に、詫びながら持って来たからな…)
 心がそちらに向いていたせいで、コーヒーは、ただ「飲んだ」というだけ。
 喉の渇きを癒して終わりで、そういう時には何を飲もうと、誰でも満足するだろう。
 一息ついて、ホッと身体と心を緩めて、ソファなどに深く腰掛けて。
 「これでゴタゴタは一段落だ」と、次にすべきことを考えながら。
(あの時のコーヒーが、とびきり美味かったとしても…)
 多分、そうだと気付きはしないし、たとえ美味くても、それで側近に選びはしない。
 いくらコーヒー党だと言っても、人選を左右するほどではない。
(だが、実際には、実に美味くて…)
 今では他の者が淹れても、「これは違う」と苛立ってしまう時もある。
 「同じコーヒーで、こうも違うか」と、「どうして上手く淹れられないのだ」と、心の中で。
(流石に、口には出さないのだが…)
 部下たちも気配で察しているのか、マツカには不名誉な渾名があった。
 「コーヒーを淹れることしか出来ない、能無し野郎」と、あからさまに陰口を叩かれている。
(本当の所は、誰よりも役に立つのだが…)
 明かすわけにはいかないからな、と放っているから、マツカは「コーヒー係」でしかない。
 もっとも、マツカの階級からしても、それ以上の仕事は出来ないけれど。


 マツカを側近に据えた時には、キースは既に「上級大佐」に昇進していた。
 その後、国家騎士団元帥を経て、今は元老の地位にいる。
 最高機関のパルテノン、即ち元老院が職場なのだし、マツカに務まる役職など無い。
 もう本当に「コーヒー係」で、今日も何杯か淹れていたけれど…。
(…此処へ来てから、つくづく思うことだが…)
 人間の好みというのは色々あるな、と呆れながらも感心させられる。
 軍人だった頃は、何処へ行っても、コーヒーが出るのが常だった。
 たまに「何を飲みますか」と訊かれはしても、選択肢はコーヒーと紅茶くらいで。
 ところが、パルテノンでは違う。
 実に様々な飲み物があって、元老たちは休憩時間に自室で飲んでいるようだ。
 だから彼らを訪ねて行ったら、当然、それを飲むことになる。
 紅茶は理解の範疇だけども、ハーブティーやら、冷えたレモネードやらは口に合わない。
 それでも「飲むしかない」けれど。
 相手が「どうぞ」と勧めるからには、「頂きます」と飲むのが礼儀で、断れはしない。
(同じコーヒーでも、とんでもないのが出るからな…)
 これは本当にコーヒーなのか、と目を剥いてしまった経験もあった。
 ホイップクリームがたっぷり入った、とんでもなく甘い「ケーキのような」コーヒー。
(おまけに、次に訪ねて行ったら…)
 覚悟して飲んだ「ホイップクリーム入り」の中に、別の味わいが隠されていた。
 オレンジか何かの柑橘類で、クリームの上には、色とりどりのトッピングまで。
(なんと言ったか、遥か昔の女帝の名前で…)
 御自慢のコーヒーだったらしいけれども、キースにとっては「コーヒー」の味ではなかった。
 甘くて怪しい菓子でしかなくて、あの時は自室に戻るなり…。
(コーヒーを、と…)
 マツカに命じて口直しをして、ようやく人心地ついたほど。
 何故、同じコーヒーがああも変わるか、それを好んで飲む者がいるのか理解出来ない。
 とはいえ、個性も好みも「人の数だけ」あるものだから、その点は仕方ないだろう。
 ただ、パルテノンに来てから、その実感を深くした。
 軍人出身の元老は「キース」だけだし、そのせいもあるのかもしれない。
 他のコースで育った者だと、コーヒーと紅茶の他にも多様な選択肢があって…。
(あれこれ選んで飲んでいる内に、ああいった風に…)
 独自の道を突っ走るようになるのかもな、と可笑しくなった。
 軍人ばかりの世界だったら、飲み物といえども質実剛健、コーヒーか紅茶かくらいなのに。


 そうした環境で生きて来たせいで、今も昔も「コーヒー党」だと自認している。
 中でもマツカが淹れるコーヒーが一番、部下たちがつけた不名誉な渾名は伊達ではない。
(そういう意味でも、いい部下を持ったな)
 この一杯が美味いんだ、と絶妙な苦味を味わう間に、ハタと気付いた。
 「どうして、コーヒー党なのだ?」と。
 いつから「キース」はコーヒー党で、コーヒーを好んで飲んでいるのか。
(……ステーションでは……)
 一切、指導されてはいないし、強制されたわけでもない。
 食堂に行けば「選べた」わけで、そういえば、今でも忘れられない「シロエ」は…。
(シナモンミルクに、マヌカ多め…)
 そのように注文している所を、何度か見掛けた。
 あれが「シロエ」の好みだったわけで、彼が生きて出世していたら…。
(普段は周囲の者に合わせて、コーヒーか紅茶だったとしても…)
 パルテノン入りを果たした後まで、大人しく「そのまま」でいたとは、とても思えない。
 ここぞとばかりに自分の好みで、自室では常にシナモンミルクで、客人にまでも…。
(如何ですか、と出しかねないぞ)
 ケーキのようなコーヒーが出て来る世界だからな、と肩を竦めた。
 あれに比べれば、シナモンミルクはマシな方だと言えるだろう。
 シロエは「それ」を好んだわけで、そうなると「軍人だから」といって…。
(必ずしもコーヒー党ではなくて、他にも色々…)
 好みがあって、普段はプライベートな空間だけで「それ」を楽しんでいるかもしれない。
 ソレイドで会ったグレイブにしても、セルジュやパスカルといった部下たちにしても。
(…では、私は…?)
 どうしてコーヒー党なのだ、と「Eー1077から後」だけしかない記憶を手繰る。
 誰にコーヒーを勧められて飲んで、いつからコーヒーが気に入りなのか、と。
 けれど、全く「思い出せない」。
 むしろ恐ろしい、「一番最初に」飲んだコーヒー。
 あのステーションで出会ったサムと、初対面の日に、二人で食堂に出掛けて行って…。
(コーヒーを、と…)
 迷うことなく注文をして、しかも「ホット」で「ブラック」と言った。
 「水槽から出て来たばかりのキース」は、コーヒーを飲んだことが無いのに。
 ホットとアイスで違う味わい、砂糖を入れるか、入れていないかの違いも、一度も…。
(自分の舌では、まるで全く…)
 知らなかった、と断言出来る。
 水槽の中で育ったからには、コーヒーも紅茶も、ミルクも口にはしていないから。


(…だったら、あれは…)
 マザー・イライザが教えた知識か、と愕然とした。
 「何か飲むのなら、コーヒーがいい」と思ったことも、ホットでブラックが好みなのも。
 それ以外には「考えられない」し、他の可能性は一つも無い。
(…そうだとすると、私の思考は、飲み物の好みに至るまで…)
 機械が仕組んで組み立てたもので、それを「知らずに」実行しているだけかもしれない。
 自分では「自分の意思」のつもりで、日々を、人生を生きているのだけれど…。
(…サムもスウェナも、シロエも、マザー・イライザに選び出されて、私の前に…)
 現れたのだし、サムを「好ましく思って」親しくしたのも、機械が仕向けた行動だろうか。
 シロエとは衝突を繰り返した末に、この手で殺す結果になったけれども…。
(…あれも機械の計算の内で、私がそれに従った以上は…)
 今も「シロエ」を忘れられないのも、シロエの面影が重なった「マツカ」を助けたことも…。
(何もかも、機械の手のひらの上で…)
 起きていることで、「キース」は「踊らされている」のだろうか。
 機械は全てを承知していて、「マツカ」が「ミュウである」ことも把握していて…。
(キースの役に立っているから、と…)
 見逃している可能性もある。
 それだけで済めばいいのだけれども、あるいは「マツカ」との出会い自体が…。
(機械に仕組まれたことだった……のか…?)
 まさか、と即座に否定しかけて、「そうかもしれない」と背筋が冷えた。
 マツカは「成人検査をパスした」ミュウで、それは偶然ではないかもしれない。
 かつて「シロエ」がそうだったように、マツカも機械に選び出されて、検査をパスして…。
(ソレイドで私と遭遇するよう、仕組まれて…)
 出会った私を殺そうとしたのも、そんなマツカを助命したのも…、と指先が震える。
 「何もかも機械の計算なのか」と、「私は機械に操られているだけなのか?」と。
 そうだとしたなら、この人生は「キース」のものではない。
 シロエが嘲笑った通りに「操り人形」、自由になれる時があるとしたなら…。
(…ミュウどもが来て、グランド・マザーと、マザー・システムを…)
 破壊した後しか有り得ない。
 もっとも、その時、「キース」が生きているかどうかは、読めないけれども…。
(…早く来い、ジョミー・マーキス・シン…!)
 私の意思が本当に私のものか知りたいからな、と心から思う。
 たとえ破滅が待っていようと、行きつく先が惨い死に様であろうとも。
 その時が来れば「分かる」から。
 機械の手のひらの上で生きていたのか、自分の意思で生きて歩いた人生なのかが…。



             決められた好み・了


※キースはどうしてコーヒー党なんだ、と思った所から出来たお話。水槽育ちの筈なのに。
 ホットとブラックは、原作から。作中の怪しげなのは「マリア・テレジア」、実在します。








拍手[0回]

(メンバーズ・エリートね…)
 とりあえず、今の目標はそれ、とシロエは机をトンと叩いた。
 Eー1077の講義の数はとても多くて、内容も高度で難解なものばかり。
 日々の授業の復習は必須、予習の方も欠かせない。
(本日分のお仕事終了、っと…)
 使っていた端末の画面を消して、椅子に腰掛けたままで伸びをする。
 キーボードを叩き続けていたから、少々、身体が固くなっているのは否めない。
(後は寝る前に、軽くストレッチ…)
 身体のメンテも大切だしね、と大きく頷き、寝るまでの時間に何をするかを考え始めた。
 つい先日から作り始めた、新しいバイクの組み立てを少し進めてもいい。
 同じく手をつけたばかりで得意分野の、新作の小型コンピューターも…。
(まだまだ先は長いしね…)
 どっちの作業をやるべきだろうか、と時間配分をザッと頭の中で図にしてみた。
 今日、寝るまでに出来そうな方はどちらなのか、と。
(うーん…)
 どっちも出来そうではあるんだけれど、と顎に手を当て、暗くなった端末の画面を眺める。
 この向こうには、明日の授業や、そのまた次の授業に繋がる世界があって…。
(…明日も明後日も、そのまた次も…)
 機械に追われて仕事だよね、と溜息が零れそうになる。
 講義をするのは人間だけれど、受講するべき科目を決めて来るのは機械。
 成績をつけて評価するのも、人間の仕事に見えるけれども…。
(最終的には、マザー・イライザ…)
 あのコンピューターが決めて来るんだ、と嫌というほど分かっている。
 SD体制の世界においては、人間は全て、駒でしかない。
 機械が何もかも決めて動かし、人生さえもが機械に左右されてゆく。
 なんと言っても、生まれた時から…。
(機械が管理する、人工子宮の中で育って…)
 外に出られるほど大きくなったら、機械が選んだ養父母の許へ送り出される。
 子供の方にも、養父母の方にも、選択権などは全く無い。
 全ては機械の意向のままで、機械にとって最良の場所を決定しているだけなのだから。


 そういう世界で生きている以上、機械の支配からは逃れられない。
 此処での受講科目にしたって、ヘマをしたなら、たちまち変更されておしまい。
(メンバーズ・エリートを目指す、精鋭のために設けられたコースは…)
 ごく少数の優秀な者しか、最終的には受講出来なくなると聞く。
 一度、コースを外れてしまえば、元のコースに戻りたくても、機会は殆ど無いのだ、とも。
(エリート用の授業を聴講させて貰って、試験を受けて…)
 編入する以外に「戻る」方法は無くて、そのための試験は滅多に合格出来ないらしい。
 死に物狂いで勉強したって、その間にも、エリートコースの授業は進んでゆくのだから。
(試験の時点で、彼らに負けない成績を叩き出せないと…)
 編入試験には合格出来ずに、負け犬のままで終わってしまう。
 それが嫌なら、どんなに機械を嫌っていようと、指示される通りに授業を受けて…。
(言われるままに予習復習、自主学習も怠りなく、ってね)
 ああ、嫌だ、と口に出してみて、「嫌だ、嫌だ」と重ねてぼやく。
 いつまでこういう日々を続けたら、ステーションから出てゆけるのか。
(全部で四年もあるんだものね…)
 まだ候補生の制服も着られない自分は、卒業までの年数も長い。
 制服を着られる年になっても、そこから二年は勉強しないと、卒業の時期は来てくれない。
(それまでの間、必死に勉強し続けて…)
 機械に素直に従い続けて、「授業を受けさせて貰わなければ」、その先の道も開けない。
 まずは「メンバーズ・エリート」に選ばれ、支配している機械の傘下に入らなければ。
(その先もずっと、機械の指示に従い続けて…)
 相当な年数と経験を積まない限りは、最終の目標には辿り着けない。
 「子供が子供でいられる世界」を、この手で取り戻すという「やらねばならない」大仕事。
 多分、「シロエにしか出来ない」ことで、ピーターパンにも期待されていることだろう。
 だから必ずメンバーズになって、国家主席の座に昇り詰めて…。
(機械に、「止まれ」と命令するんだ)
 SD体制の世界を牛耳る、地球にある巨大コンピューターを停止させれば、それでいい。
 グランド・マザーが「停止する」ことは、SD体制の終わりを意味する。
 機械による「人間の統治」も終わって、何もかもが皆、「人間」の手に戻って来る。
 成人検査で記憶を消されることもなくなり、人生を機械に決められることもなくなって。


(…頑張らないといけないってことは、分かるんだけど…)
 本当に先が長すぎるよ、と愚痴を言っても、道を縮めることは出来ない。
 どんなに優秀な者であろうと、教育ステーションでの期間中には…。
(飛び越して先に進むというのは、駄目らしいしね…)
 それが出来るのは卒業した後、と授業で習った。
 メンバーズに選ばれ、軍人としての道を歩み始めたら、成果を上げれば出世してゆける。
 本来だったら「その年齢では無理」と言われる階級にだって、いくらでもなれる。
(二階級特進を繰り返していけば、アッと言う間に…)
 大佐になれて、トントン拍子に国家騎士団元帥の座にも就けるだろう。
(そこまで行ったら、国家主席になれるように、と…)
 未だ一人もいないと噂の、「軍人出身の元老」に選ばれるように努力する。
 政治的手腕などを認められたら、道は必ず開けるから。
(頑張らないと…)
 メンバーズになって、此処を卒業して…、と算段していて、ふと思い出した。
 その「メンバーズ」が選ばれるのは卒業の前で、選ばれてからも暫くはステーションにいる。
 Eー1077の生徒のままだけれども、選ばれた以上、その権限は…。
(教授たちを超えて、マザー・イライザじゃなくて、グランド・マザーの直轄で…)
 生徒でありながら「メンバーズとして」、決定権などを持つらしい。
 教授が「右だ」と指示していても、彼らが「左だ」と言ったら「左」。
 全ての者がそれに従い、右ではなくて左へと動く。
(…そういう権限を持つわけだから…)
 彼らは当然、ステーションに在籍していても…。
(地球を統治する機械に従う、外の世界のメンバーズたちと…)
 連絡が取れて、直接、話も出来るのだという。
 もちろん実際に会うのではなくて、通信画面を通しての会話になるけれど。
(とはいえ、いわゆるホットラインで…)
 メンバーズの誰かを名指しで呼び出し、あれこれ相談出来たりもする。
 今の局面をどうするべきか、自分の判断を話した上で、アドバイスを仰いだりもして。


(…つまりEー1077は、監獄みたいに孤立しているように見えても…)
 外の世界と繋がっていて、条件が揃えば、生徒と外とを繋ぐ回路が開けるのだろう。
 メンバーズに選出された者なら、外の世界で活躍しているメンバーズたちと話が出来る。
(ということは、メンバーズとして選び出される前だって…)
 ある程度までの教育課程を終えたら、「外」と繋がれるのかもしれない。
 メンバーズと連絡を取るのは無理でも、現役の軍人たちなどと。
(机の上の講義と、教授がついてくる実習だけでは…)
 学べないものも多いことだろう。
 そうした場合に、「外の世界」の者の知識や、体験談などは大いに役立つ。
 彼らの話を聞ける機会が、まるで無いとは言い切れない。
(…多分、そういう人の話を聞くための…)
 時間が何処かで設けられていて、必要とあらば、ホットラインが開設される可能性もある。
 「相談するなら、この人に」と機械が決めて、割り振るのかもしれないけれど。
(それでも、外と繋がるのなら…)
 外の知識を「仕入れる」ことが出来るのならば、此処がEー1077ではなくて…。
(技術者を育てるステーションだったら、もしかして、パパと…)
 繋がる機会があったろうか、と消えたままの端末の暗い画面の向こうを見詰めた。
 この端末は、Eー1077の中だけで「完結している」システムだけれど、機能は高い。
(ぼくがメンバーズに選ばれた時は、これを通して…)
 外の世界にいるメンバーズと、「会話する」日も来るだろう。
 選ばれる前にも、外の世界の軍人たちと連絡を取るなら、この端末を通すことになる。
(ぼくが技術者向けのステーションにいて、パパと同じ道に進んでいたら…)
 教育課程を順調に進めて、外の世界の研究者の見解を聞きたくなることもあるかもしれない。
 その研究の第一人者が「セキ博士」になるというのだったら、優秀な生徒だったなら…。
(セキ博士に質問したいんですが、って申告したら…)
 ステーションを支配している機械は、許可するしかない。
 「シロエが聞きたい質問の答え」を持っているのは、「セキ博士しかいない」から。
 他の研究者では答えられなくて、「シロエの疑問」を解くことは出来ない。
 それでは「シロエの研究」は先へ進まないから、「セキ博士」がシロエの何であろうと…。


(繋ぐしか道は無い、ってね…?)
 そうなるよね、と気付いて愕然とした。
 自分は「間違えた」のだろうか、と。
 技術者の道を歩んでいたなら、父とも「繋がれた」だろうか。
 メンバーズになっても、いつか出張などの機会があったら、会えそうだけれど…。
(技術者だったら、もっと早くにパパと繋がる道が開けて…)
 面識があれば何かと便利だ、と機械は「父の記憶」を多めに残していたかもしれない。
 「セキ博士」と繋がり、意見交換をする立場になったら、その方が話が円滑に運ぶ。
(はじめまして、じゃないんだし…)
 父の記憶が消されていないのだったら、「久しぶりだな、シロエ」と笑んでくれるだろう。
 そして「研究の方はどうだ?」と尋ねて、「パパの研究所に来るか?」と誘ってくれもして。
(機械の方でも、そのつもりで準備しているだろうし…)
 セキ・レイ・シロエは研究者として、故郷に戻っていたろうか。
 ステーションを卒業したなら、父の研究所に配属されて。
 「住まいも近い方がいいだろうから」と、懐かしい家の近くに新しく家を貰って。
(…もしかして、そういう道だって、あった…?)
 ぼくは間違えちゃったのかな、と思うけれども、今の自分が歩んでいる道は…。
(やっぱり機械が決めた道だし、技術者になるっていう道は…)
 機械が「駄目だ」と判断したのに違いない。
 けれども、機械が「選ぶ」基準は…。
(…あくまで子供の資質と、成績…)
 ならばやっぱり、自分は「間違えてしまった」ろうか。
 父の研究所に入れそうな道を、自分自身の手で「潰して」。
 技術者に選ばれる可能性の芽を、知らずにプツリと摘んでしまって。
(そうだった…?)
 「パパ、もしかして、そうだったの?」と尋ねたくても、父と繋がることは出来ない。
 違う道へ来てしまったから。
 此処から「繋がれる」外の世界は、メンバーズと軍人の世界だから…。



            端末の向こうに・了


※学生のシロエが「セキ博士」に質問してもいい、技術者を育てる教育ステーション。
 そういうのもあったかもしれません。原作キースは、学生でも地球の代理人になれたので…。









拍手[1回]

Copyright ©  -- 気まぐれシャングリラ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]