持たない因子
(…ミュウか…)
使いようではあるのだがな、とキースはマツカが消えた扉を見遣る。
たった今、コーヒーを淹れて置いて行った側近の正体は、ミュウ。
SD体制の不純物で忌むべき異分子、本来、生かしておいてはならない。
けれど「マツカ」が側にいたから、自分は現在、この部屋にいる。
(…初の、軍人出身の元老…)
そういう地位まで昇れた理由は、命を落とさなかったから。
マツカが持っているミュウの能力、それが「キース」を救い続けた。
数多の暗殺計画を退け、時には盾にもなっていた「マツカ」。
これから先も、「彼」の助けを借りながら生きてゆくのだろう。
他の元老には目障りな「キース」、それを消したい輩は幾らでもいる。
(寛げるのは、夜更けだけだな)
流石に部屋に戻った後まで、命を狙われたことは無い。
明日の朝、部屋を後にするまで、差し迫った危機は訪れはしない。
マツカが誰かの不穏な思考を、この時間に察知していても…。
(わざわざ伝えに来なくていい、と…)
言ってあるから、マツカは此処へは来ない。
代わりに「不穏な思考」を追い掛け、誰のものかを確実に掴み、更に読み取る。
思考の持ち主が「キース」に何をするのか、どういう罠を仕掛けるのかと。
(実に便利で、役に立つのがミュウというヤツだ)
有効活用すればいいのに、と何度思ったことだろう。
発見されたミュウを「処分する」より、「活用する」道は無いのだろうか、と。
自分が「マツカ」を使う要領で、適切な対応を誤らなければ、彼らは便利な生き物と言える。
様々な場面で役に立つ上、忠実な部下にも成り得る存在。
彼らは「恩義を受けた相手」を、けして忘れはしないから。
その相手から惨い仕打ちを受けても、本気で逆らい、殺すことなど無いのだから。
今日という日まで、「そのように」マツカを使って来た。
ソレイドで命を救った事実が、マツカに「キース」を「仕えるべき相手」と認識させた。
キースが傷付くことがないよう、マツカは能力を使い続ける。
疲労困憊している時でも、虚弱な身体が高熱を出している時でも。
(…使いようだと思うのだがな…)
それとも「キース」にしか「使いこなせない」ほど、彼らの扱いは難しいのか。
何と言っても「キース」は普通ではなくて、ミュウとは違う意味で「特殊な存在」。
人類を導くために作られ、育て上げられた「機械の申し子」。
生まれながらに優秀なのだし、「キース」には容易いことであっても…。
(他の者には、ミュウを使うのは不可能なのか?)
そういうことなら、「活用」ではなくて「処分」になるのも仕方がない。
どれほど便利な生き物だろうが、使いこなせなければ猛獣と同じ。
いつ牙を剥いて主人を殺すか、それこそ分からないのだから。
(……猛獣か……)
まさにそうだ、という気がする。
ミュウの能力は様々だけども、マツカを長年、見ていれば分かる。
外見だけでは判断出来ない、彼らが秘めている力。
たとえサイオンが弱かろうとも、追い詰められれば、凄まじい力を発揮するだろう。
実験室で「日々、殺されている」ミュウは、まだまだ未熟なミュウだからこそ。
彼らが自由を手にした時には、その能力はいくらでも伸びる。
(タイプ・ブルーには及ばなくても…)
そこそこの力を手に出来る筈で、だからこそ「役に立つ」と思った。
彼らを便利に使いこなせば、人類の方にも充分なメリットがあるだろうに、と。
とはいえ、「キース」にしか「使えない」なら、生かしておいても危険なだけ。
「全て処分する」という、グランド・マザーの意見は正しい。
(…そうは思うが、なんとも惜しいな…)
ミュウを有効に使えれば…、と考えていて、ハタと気付いた。
「彼ら」が便利で役に立つなら、何故、「キース」には…。
(…ミュウの能力が備わってはいないのだ?)
持たせておけばいいではないか、と顎に手を当て、首を傾げる。
もしも「キース」に「マツカのような力」があったら、全ては変わって来るだろう。
マツカを側近に据えていなくても、自分の力で危機を見抜いて切り抜けられる。
暗殺計画は端から潰して、突発的なテロとも言える襲撃だって…。
(マツカが弾を受け止めるように、私がこの手で…)
撃ち殺される前に弾を握って、止めてしまえば問題は無い。
不意に爆弾を投げ付けられても、自分自身でシールドも張れる。
(それらを全て、サイオンのせいとは気付かせないで…)
誰にも「ミュウ」だと知られないよう、隠して生きるのは難しくない。
現に「マツカ」は、グランド・マザーにさえ見抜かれはせずに「生きている」。
「キース」の場合は、SD体制の頂点に立つ「グランド・マザー」が作らせたのだし…。
(マザー自身が、今の私が「マツカ」を隠しているように…)
真の能力に誰も「気が付かない」よう、仕向けることは簡単だろう。
仮に気付いた者がいたなら、記憶操作か、抹殺するか。
そうすれば「誰にも」知られることなく、「キース」はミュウの能力を持って…。
(あらゆる危難を全て退け、他の者たちの心を読み取り、今の私よりも…)
優れた者になっていたろう、と容易に想像がつく。
更に言うなら、ミュウは「寿命が長い」生き物。
「キース」の寿命は、せいぜい持って百年だけども、彼らは「違う」。
ソルジャー・ブルーの例がある通り、ミュウの因子さえあれば「キース」も…。
(…三百年は生きて、指導者として…)
人類を導いてゆけるわけだし、その方が「遥かにいい」と思える。
「人類のふりをしている」以上は、表立っては出られなくても、導く方法は幾らでもある。
忠実な腹心の部下を選んで、傀儡として据えて、操るだとか。
(私が、ミュウでさえあれば…)
優に三百年の間は、人類を指導出来た筈だし、後継者をも立派に育て上げられただろう。
傀儡として選んだ部下であっても、教育次第で「キース」の後継者にすることは可能。
それに「キース」が、人類を治め続ける間に…。
(…私の後を継ぐ能力を持った「誰か」を…)
またしても「無から」作り出すことも、長い時間さえあったら出来る。
処分されたEー1077の代わりに、新たな実験場を設けて。
マザー・イライザとは違う機械に、次の時代を担う「誰か」を作り上げるよう命令して。
(…そうしておけば、ミュウどもが暴れ続けていても…)
人類はなんとか「やってゆける」だろうと思うし、聖地たる地球も持ち堪えられる。
ミュウどもの手に落ちることなく、人類の支配下に置き続けて。
(…良いことずくめだとしか思えないのだが…)
実際、そうだと思うのだが、とキースは首を捻るしかない。
「それなのに、何故」と、解せない「現実」。
ミュウの因子を組み込んでおけば、今よりも「優れたキース」を作れた。
因子を作るのが「不可能だった」とは思えない。
仮に「不可能だった」としたって、それならば「持ってくればいい」。
「全くの無から作り出す」ことにこだわり続けず、ミュウの因子だけを何処かから…。
(持って来て、組み込めばいいだけのことで…)
機械に「こだわり」などは無いから、結果さえ出せれば「それで充分」。
自分が作った因子でなくとも、「キース」に組み込み、発現させることが出来たなら。
(…しかし、マザーは…)
その道を選びはしなかった。
それは何故だ、と疑問が湧き上がって来る。
「どうして、私を人類にした」と、「何故、ミュウの因子を組み込まなかったのだ」と。
考えるほどに、「そちらの方が」上策なのに。
キースが「ミュウだ」という真実さえ隠しておいたら、最高の指導者が出来上がるのに。
どうしてなのだ、と自分自身に問い掛けてみても分からない。
「ミュウは虚弱だ」という定説にしても、ジョミー・マーキス・シンという「例外」がある。
彼のようなミュウが存在するなら、もちろん「作れる」ことだろう。
今の「キース」と全く同じに、健康な肉体を持っている「ミュウのキース」を。
メンバーズの厳しい訓練に耐えて、軍人としてやってゆける「キース」を。
(…それなのに、そうしなかったのは…)
まさか…、と恐ろしい考えが過っていった。
「作れる筈」の「ミュウのキース」を、機械が「作らなかった」理由があるのでは、と。
それが何かは謎だけれども、恐らくは「禁忌」。
ミュウの因子を「触ってはならず」、それを「操作する」ことも出来ない。
機械には「その権限」が無くて、それゆえに「作れはしなかった」。
「キース」にミュウの因子さえあれば、優秀になると分かっていても。
ミュウの因子を作り出すためのノウハウ、それをマザー・イライザが持ってはいても。
(…そうだとしたなら…)
グランド・マザーが何と言おうとも、ミュウは「進化の必然」だろう。
人類よりも「進化した」種で、次の時代を託された者。
彼らが「そういう位置付け」だったら、「キース」に因子を組み込みたくても…。
(出来はしないし、してもならない…)
グランド・マザーには、そうする権限が無い、と考えれば全てに納得がゆく。
「あれば役立つ」筈の力を、「キース」は持っていないこと。
ミュウの因子を持っていたなら、「より優秀なキース」になることも。
(…つまり、ミュウどもの方が遥かに…)
人類よりも優れているから、「世界が彼らのものになるよう」、ミュウの因子は弄れない。
いつか、その日が「やって来る」のを、機械に止めることは出来ない。
「生まれて来たミュウ」は抹殺出来ても、根源を断ち切ることだけは…。
(…けして出来ない、というわけか…)
そして「私」は、それが出来ない象徴なのか、と自嘲の笑みを浮かべてコーヒーを呷る。
「私は古い人間なのか」と、「新しい種族にしてはならないモノだったのか」と…。
持たない因子・了
※キースにミュウの因子があったら、より優秀な人材になった筈だ、と思ったわけで。
そのことにキースが気付いたとしたら、どうなるだろう、というお話。少し可哀相かも…。
使いようではあるのだがな、とキースはマツカが消えた扉を見遣る。
たった今、コーヒーを淹れて置いて行った側近の正体は、ミュウ。
SD体制の不純物で忌むべき異分子、本来、生かしておいてはならない。
けれど「マツカ」が側にいたから、自分は現在、この部屋にいる。
(…初の、軍人出身の元老…)
そういう地位まで昇れた理由は、命を落とさなかったから。
マツカが持っているミュウの能力、それが「キース」を救い続けた。
数多の暗殺計画を退け、時には盾にもなっていた「マツカ」。
これから先も、「彼」の助けを借りながら生きてゆくのだろう。
他の元老には目障りな「キース」、それを消したい輩は幾らでもいる。
(寛げるのは、夜更けだけだな)
流石に部屋に戻った後まで、命を狙われたことは無い。
明日の朝、部屋を後にするまで、差し迫った危機は訪れはしない。
マツカが誰かの不穏な思考を、この時間に察知していても…。
(わざわざ伝えに来なくていい、と…)
言ってあるから、マツカは此処へは来ない。
代わりに「不穏な思考」を追い掛け、誰のものかを確実に掴み、更に読み取る。
思考の持ち主が「キース」に何をするのか、どういう罠を仕掛けるのかと。
(実に便利で、役に立つのがミュウというヤツだ)
有効活用すればいいのに、と何度思ったことだろう。
発見されたミュウを「処分する」より、「活用する」道は無いのだろうか、と。
自分が「マツカ」を使う要領で、適切な対応を誤らなければ、彼らは便利な生き物と言える。
様々な場面で役に立つ上、忠実な部下にも成り得る存在。
彼らは「恩義を受けた相手」を、けして忘れはしないから。
その相手から惨い仕打ちを受けても、本気で逆らい、殺すことなど無いのだから。
今日という日まで、「そのように」マツカを使って来た。
ソレイドで命を救った事実が、マツカに「キース」を「仕えるべき相手」と認識させた。
キースが傷付くことがないよう、マツカは能力を使い続ける。
疲労困憊している時でも、虚弱な身体が高熱を出している時でも。
(…使いようだと思うのだがな…)
それとも「キース」にしか「使いこなせない」ほど、彼らの扱いは難しいのか。
何と言っても「キース」は普通ではなくて、ミュウとは違う意味で「特殊な存在」。
人類を導くために作られ、育て上げられた「機械の申し子」。
生まれながらに優秀なのだし、「キース」には容易いことであっても…。
(他の者には、ミュウを使うのは不可能なのか?)
そういうことなら、「活用」ではなくて「処分」になるのも仕方がない。
どれほど便利な生き物だろうが、使いこなせなければ猛獣と同じ。
いつ牙を剥いて主人を殺すか、それこそ分からないのだから。
(……猛獣か……)
まさにそうだ、という気がする。
ミュウの能力は様々だけども、マツカを長年、見ていれば分かる。
外見だけでは判断出来ない、彼らが秘めている力。
たとえサイオンが弱かろうとも、追い詰められれば、凄まじい力を発揮するだろう。
実験室で「日々、殺されている」ミュウは、まだまだ未熟なミュウだからこそ。
彼らが自由を手にした時には、その能力はいくらでも伸びる。
(タイプ・ブルーには及ばなくても…)
そこそこの力を手に出来る筈で、だからこそ「役に立つ」と思った。
彼らを便利に使いこなせば、人類の方にも充分なメリットがあるだろうに、と。
とはいえ、「キース」にしか「使えない」なら、生かしておいても危険なだけ。
「全て処分する」という、グランド・マザーの意見は正しい。
(…そうは思うが、なんとも惜しいな…)
ミュウを有効に使えれば…、と考えていて、ハタと気付いた。
「彼ら」が便利で役に立つなら、何故、「キース」には…。
(…ミュウの能力が備わってはいないのだ?)
持たせておけばいいではないか、と顎に手を当て、首を傾げる。
もしも「キース」に「マツカのような力」があったら、全ては変わって来るだろう。
マツカを側近に据えていなくても、自分の力で危機を見抜いて切り抜けられる。
暗殺計画は端から潰して、突発的なテロとも言える襲撃だって…。
(マツカが弾を受け止めるように、私がこの手で…)
撃ち殺される前に弾を握って、止めてしまえば問題は無い。
不意に爆弾を投げ付けられても、自分自身でシールドも張れる。
(それらを全て、サイオンのせいとは気付かせないで…)
誰にも「ミュウ」だと知られないよう、隠して生きるのは難しくない。
現に「マツカ」は、グランド・マザーにさえ見抜かれはせずに「生きている」。
「キース」の場合は、SD体制の頂点に立つ「グランド・マザー」が作らせたのだし…。
(マザー自身が、今の私が「マツカ」を隠しているように…)
真の能力に誰も「気が付かない」よう、仕向けることは簡単だろう。
仮に気付いた者がいたなら、記憶操作か、抹殺するか。
そうすれば「誰にも」知られることなく、「キース」はミュウの能力を持って…。
(あらゆる危難を全て退け、他の者たちの心を読み取り、今の私よりも…)
優れた者になっていたろう、と容易に想像がつく。
更に言うなら、ミュウは「寿命が長い」生き物。
「キース」の寿命は、せいぜい持って百年だけども、彼らは「違う」。
ソルジャー・ブルーの例がある通り、ミュウの因子さえあれば「キース」も…。
(…三百年は生きて、指導者として…)
人類を導いてゆけるわけだし、その方が「遥かにいい」と思える。
「人類のふりをしている」以上は、表立っては出られなくても、導く方法は幾らでもある。
忠実な腹心の部下を選んで、傀儡として据えて、操るだとか。
(私が、ミュウでさえあれば…)
優に三百年の間は、人類を指導出来た筈だし、後継者をも立派に育て上げられただろう。
傀儡として選んだ部下であっても、教育次第で「キース」の後継者にすることは可能。
それに「キース」が、人類を治め続ける間に…。
(…私の後を継ぐ能力を持った「誰か」を…)
またしても「無から」作り出すことも、長い時間さえあったら出来る。
処分されたEー1077の代わりに、新たな実験場を設けて。
マザー・イライザとは違う機械に、次の時代を担う「誰か」を作り上げるよう命令して。
(…そうしておけば、ミュウどもが暴れ続けていても…)
人類はなんとか「やってゆける」だろうと思うし、聖地たる地球も持ち堪えられる。
ミュウどもの手に落ちることなく、人類の支配下に置き続けて。
(…良いことずくめだとしか思えないのだが…)
実際、そうだと思うのだが、とキースは首を捻るしかない。
「それなのに、何故」と、解せない「現実」。
ミュウの因子を組み込んでおけば、今よりも「優れたキース」を作れた。
因子を作るのが「不可能だった」とは思えない。
仮に「不可能だった」としたって、それならば「持ってくればいい」。
「全くの無から作り出す」ことにこだわり続けず、ミュウの因子だけを何処かから…。
(持って来て、組み込めばいいだけのことで…)
機械に「こだわり」などは無いから、結果さえ出せれば「それで充分」。
自分が作った因子でなくとも、「キース」に組み込み、発現させることが出来たなら。
(…しかし、マザーは…)
その道を選びはしなかった。
それは何故だ、と疑問が湧き上がって来る。
「どうして、私を人類にした」と、「何故、ミュウの因子を組み込まなかったのだ」と。
考えるほどに、「そちらの方が」上策なのに。
キースが「ミュウだ」という真実さえ隠しておいたら、最高の指導者が出来上がるのに。
どうしてなのだ、と自分自身に問い掛けてみても分からない。
「ミュウは虚弱だ」という定説にしても、ジョミー・マーキス・シンという「例外」がある。
彼のようなミュウが存在するなら、もちろん「作れる」ことだろう。
今の「キース」と全く同じに、健康な肉体を持っている「ミュウのキース」を。
メンバーズの厳しい訓練に耐えて、軍人としてやってゆける「キース」を。
(…それなのに、そうしなかったのは…)
まさか…、と恐ろしい考えが過っていった。
「作れる筈」の「ミュウのキース」を、機械が「作らなかった」理由があるのでは、と。
それが何かは謎だけれども、恐らくは「禁忌」。
ミュウの因子を「触ってはならず」、それを「操作する」ことも出来ない。
機械には「その権限」が無くて、それゆえに「作れはしなかった」。
「キース」にミュウの因子さえあれば、優秀になると分かっていても。
ミュウの因子を作り出すためのノウハウ、それをマザー・イライザが持ってはいても。
(…そうだとしたなら…)
グランド・マザーが何と言おうとも、ミュウは「進化の必然」だろう。
人類よりも「進化した」種で、次の時代を託された者。
彼らが「そういう位置付け」だったら、「キース」に因子を組み込みたくても…。
(出来はしないし、してもならない…)
グランド・マザーには、そうする権限が無い、と考えれば全てに納得がゆく。
「あれば役立つ」筈の力を、「キース」は持っていないこと。
ミュウの因子を持っていたなら、「より優秀なキース」になることも。
(…つまり、ミュウどもの方が遥かに…)
人類よりも優れているから、「世界が彼らのものになるよう」、ミュウの因子は弄れない。
いつか、その日が「やって来る」のを、機械に止めることは出来ない。
「生まれて来たミュウ」は抹殺出来ても、根源を断ち切ることだけは…。
(…けして出来ない、というわけか…)
そして「私」は、それが出来ない象徴なのか、と自嘲の笑みを浮かべてコーヒーを呷る。
「私は古い人間なのか」と、「新しい種族にしてはならないモノだったのか」と…。
持たない因子・了
※キースにミュウの因子があったら、より優秀な人材になった筈だ、と思ったわけで。
そのことにキースが気付いたとしたら、どうなるだろう、というお話。少し可哀相かも…。
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